血中総コレステロール
目次
定義と基礎
血中総コレステロールは、血液中に存在する全てのコレステロール量の合計を指し、遊離型とエステル型の双方を含みます。LDLやHDLなどのリポタンパクに運ばれ、細胞膜の構成やホルモン合成に関わります。
総コレステロールは単独では心血管リスクを完全に反映しませんが、集団レベルでは上昇が動脈硬化リスクの上昇と関連します。臨床ではLDL、HDL、トリグリセライドと合わせて評価します。
単位は通常mg/dLまたはmmol/Lで表され、換算は1 mmol/Lが約38.67 mg/dLに相当します。世界各地で基準は異なり、検査室毎に参考範囲が定められています。
コレステロールは体内で肝臓により合成され、食事からも摂取されます。体内プールは合成、吸収、胆汁酸化、排泄のバランスで保たれます。
参考文献
測定法と理論
現在の臨床検査では酵素法(CHOD-PAP法)が主流です。コレステロールエステラーゼで加水分解後、コレステロールオキシダーゼで過酸化水素を生成し、ペルオキシダーゼで発色体を酸化して比色測定します。
基準測定法としてアベル・ケンダル法が歴史的に用いられ、校正や外部精度管理にはCDCのCRMLNが関与しています。これにより各機関の測定値の標準化が進みます。
溶血、強い黄疸、アスコルビン酸、重度の高脂血症は干渉要因になり得ます。試薬は干渉を低減する工夫がされ、メーカーの指示に従うことが重要です。
総コレステロールは空腹でなくても安定して測定可能とされ、非空腹時採血が広く容認されています。とはいえ施設の方針に従う必要があります。
参考文献
臨床的意義
総コレステロールの高値は、特にLDLの増加を伴う場合にアテローム動脈硬化のリスク上昇と関連します。反対に低値は甲状腺機能亢進症や重症疾患などで見られることがあります。
スクリーニングでは総コレステロールは有用ですが、リスク評価にはLDL-C、HDL-C、non-HDL-C、トリグリセライドの併用が推奨されます。リスク計算には年齢や血圧なども加味します。
二次性の原因として甲状腺機能低下症、胆汁うっ滞、ネフローゼ症候群、薬剤(利尿薬、ステロイド、プロテアーゼ阻害薬など)が挙げられます。
治療は生活習慣改善が基本で、必要に応じてスタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害薬などを用います。家族性高コレステロール血症では専門医管理が重要です。
参考文献
遺伝と環境
総コレステロール値には遺伝と環境の双方が影響します。双生児研究では遺伝率はおおむね40〜60%と報告され、家族性高コレステロール血症のような単一遺伝子疾患もあります。
食事の飽和脂肪酸、体重、運動量、喫煙、飲酒は環境要因の主要因です。これらの修正により総コレステロールは有意に変化します。
年齢や性別、閉経、妊娠などの生理的要因も値に影響します。疾患や薬剤などの外因は検査値解釈の際に除外が必要です。
個人差は大きく、遺伝と環境の交互作用も存在します。個別化医療の観点から両面の評価が大切です。
参考文献
- Polderman et al. Meta-analysis of twin studies
- Whitfield JB. Genetic influences on plasma lipids
- CDC: Cholesterol and risk
管理と目標
目標設定は総コレステロール単独ではなく、LDL-Cと全体の動脈硬化リスクに基づきます。既往歴や危険因子の数で治療強度が決まります。
食事では飽和脂肪酸と反式脂肪酸の低減、可溶性食物繊維や植物ステロールの導入が推奨されます。体重管理と有酸素運動は相乗効果を持ちます。
薬物療法はスタチンが第一選択で、目標未達ではエゼチミブやPCSK9阻害薬を追加します。副作用のモニタリングも重要です。
定期的なフォローで治療効果と安全性を評価し、行動変容の支援を行います。家族歴が強い場合は家族スクリーニングも検討します。
参考文献

