Forest background
バイオインフォの森へようこそ

西洋食の摂取と悪玉コレステロール(LDL)増加の関係

目次

概要と生理的役割

LDL(低密度リポ蛋白)は、肝臓で合成されたVLDLが代謝されて生じ、コレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を担います。細胞膜やステロイドホルモンの材料として必要ですが、過剰に増えると動脈硬化の進展に関与します。

LDL粒子はアポB100を1分子ずつ含み、血中のLDLコレステロール(LDL-C)は標準的な心血管リスク指標です。近年はLDL粒子数やアポBがより直接的なアテローム形成能の指標として注目されています。

肝細胞表面のLDL受容体(LDLR)がLDLを取り込み、血中濃度を調節します。LDLRの発現は細胞内コレステロール量やSREBP経路により制御され、食事脂質や遺伝的要因の影響を受けます。

LDL-Cはmg/dLまたはmmol/Lで報告され、一般的に低いほど動脈硬化性疾患のリスクは低下します。LDL-CとLDL粒子数は必ずしも一致しないことがあり、臨床解釈では他の脂質指標やリスクと併せた評価が必要です。

参考文献

上昇する主な原因(食事・生活・遺伝)

飽和脂肪酸の多い食品(脂身肉、全脂乳製品、パーム油など)は肝のLDL受容体活性を低下させ、LDL-Cを上昇させます。部分水素添加油由来の工業的トランス脂肪酸はLDLを上げHDLを下げ、心血管リスクを増大させます。

いわゆる西洋食パターン(赤身・加工肉、精製穀類、砂糖・揚げ物が多い)は、飽和脂肪と精製炭水化物が過剰になりやすく、LDL上昇や小型で密なLDLの増加、トリグリセリド高値を伴うことが観察研究で報告されています。

肥満、身体不活動、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、肝胆道疾患、特定薬剤(例:免疫抑制薬)の影響でもLDLは上昇します。まず二次性要因の評価と修正が重要です。

遺伝的要因も大きく、家族性高コレステロール血症(LDLR、APOB、PCSK9変異など)では若年から著明なLDL高値を呈します。APOE遺伝子型などの多型も食事脂質への反応性に影響します。

参考文献

健康への影響とリスク

LDLが血管内皮下に取り込まれ酸化・修飾されると、マクロファージが泡沫化し、アテローム斑が形成されます。これが進展すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の原因になります。

薬物療法やライフスタイル介入でLDLを低下させると主要心血管イベントが減少することは無作為化試験やメンデル無作為化研究で一貫して示されています。生涯暴露量(LDLの“暴露時間×濃度”)が重要です。

LDLは連続的なリスク因子であり、ベースリスクが高い人ほど同じLDL低下でも絶対リスク減少が大きくなります。非HDLコレステロールやアポBも残余リスク評価に役立ちます。

工業的トランス脂肪は特に有害で、LDL上昇とHDL低下を同時に引き起こします。多価不飽和脂肪酸への置換はLDLを低下させ、心血管イベントの減少と関連します。

参考文献

下げるための実践(食事・運動・薬)

飽和脂肪を減らし、多価不飽和・一価不飽和脂肪(魚、ナッツ、植物油)へ置き換えます。工業的トランス脂肪は避け、可溶性食物繊維(オーツ麦、豆類)を増やすとLDLが5〜10%低下します。

ポートフォリオ食(植物ステロール、粘性繊維、大豆たんぱく、ナッツの組み合わせ)はLDLを二桁台で低下させることが試験で示されています。体重管理と有酸素運動も追加効果があります。

地中海食パターンはオリーブ油やナッツ、魚、野菜・豆類を多く含み、心血管イベントを減らし、脂質プロフィールも改善します。継続可能な食事全体のパターンが鍵です。

薬物としてはスタチンが第一選択で、必要に応じてエゼチミブやPCSK9阻害薬を併用します。家族性高コレステロール血症では早期からの介入が推奨され、医療者と相談が必要です。

参考文献

検査・目標値・解釈のポイント

空腹時・非空腹時いずれでも脂質検査は可能ですが、高トリグリセリド血症では直接LDL測定やアポB測定が有用です。Friedewald式は高TG時に過小評価となることがあります。

目標値は個々の動脈硬化性心血管疾患リスクに応じて設定されます。高リスクではLDL<70 mg/dLやアポB低下が推奨されることが多く、一次予防ではより緩やかな目標が用いられます。

LDLは日内・季節変動や急性疾患、最近の食事の影響を受け得るため、評価は複数回測定や他のリスク因子と併せた総合判断が大切です。

遺伝子と食事の相互作用により個人差がありますが、標準的な推奨(飽和脂肪の置換、繊維増加、体重管理)は多くの人に有益です。サプリは品質や適応を確認し、過信しない姿勢が重要です。

参考文献