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血尿

目次

概要

血尿は尿の中に赤血球が混じる状態を指す用語で、病名ではなく「症状(徴候)」です。肉眼で赤〜茶色に見える肉眼的血尿と、肉眼では分からず顕微鏡で赤血球が確認される顕微鏡的血尿に大別されます。

国際的には、顕微鏡的血尿は一般に尿沈渣の高倍率視野(HPF)で赤血球が1視野あたり3個以上(≥3 RBC/HPF)認められた場合に定義されることが多く、再現性のある検査で確認することが重要です。

血尿は軽微な一過性のものから、腎・尿路の腫瘍など見逃してはならない重篤な原因まで幅広く、年齢・喫煙歴・合併症などのリスクに応じて適切な精査が必要です。

日本では学校や職域の検尿が広く行われ、無症候性の顕微鏡的血尿が偶然見つかることも少なくありません。検出された場合は、運動・月経などの影響を除外しつつ、再検や必要な精査につなげます。

参考文献

主な原因

尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大、外傷、運動直後の一過性血尿、月経混入など、腎盂・尿管・膀胱・尿道といった非糸球体性の原因が頻度としては多くみられます。

糸球体性の血尿の代表にはIgA腎症、アルポート症候群、薄基底膜病(現在は家族性アルポート症候群と連続体)などがあり、蛋白尿や円柱、赤血球形態異常(dysmorphic RBC)が伴いやすいことが特徴です。

抗凝固薬や抗血小板薬は血尿の「原因」そのものというよりも、潜在する病変からの出血を顕在化させることがあるため、服用中でもリスクに応じた評価を省略しないことが推奨されます。

高齢、喫煙歴、職業性曝露(芳香族アミンなど)は尿路上皮がんのリスクであり、無症候性血尿であっても悪性腫瘍の除外が必要になることがあります。

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診断の進め方

まず肉眼的か顕微鏡的か、持続性か一過性か、排尿時痛・発熱・側腹部痛・血塊の有無、月経周期、運動歴、薬剤歴などを問診し、バイタルと腹部・背部叩打痛・前立腺所見など身体所見を確認します。

尿試験紙はスクリーニングとして有用ですが偽陽性もあり、陽性時は尿沈渣で赤血球数を確認します。蛋白尿や円柱、赤血球の変形があれば糸球体性を示唆し腎臓内科コンサルトを考慮します。

悪性腫瘍のリスクに応じ、膀胱鏡と上部尿路画像検査(超音波、低〜中等度リスクでは超音波、高リスクでは造影CT尿路撮影)が推奨されます。妊娠や腎機能に応じて撮影法は調整します。

初回精査が陰性でも、持続する場合やリスクが変化した場合はフォローアップが勧められます。月経・激しい運動・発熱性疾患後の一過性血尿は再検で消失するかを確認します。

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治療の考え方

血尿そのものを抑えるのではなく、原因疾患を特定して治療します。尿路感染なら培養に基づく抗菌薬、結石なら鎮痛・水分摂取や必要に応じて砕石術、腫瘍なら泌尿器科での根治治療が基本です。

糸球体疾患では、レニン・アンジオテンシン系阻害薬による腎保護や、疾患に応じた免疫抑制療法を腎臓内科で検討します。IgA腎症では生活指導と支持療法が基盤で、適応例に限り免疫療法が考慮されます。

前立腺肥大に伴う血尿には、薬物治療や前立腺動脈塞栓術・手術など選択肢があります。血塊貯留による尿閉は緊急で膀胱洗浄や止血が必要です。

抗凝固薬関連の出血では、原疾患の血栓塞栓リスクと出血リスクを総合評価し、主治医と調整のうえで一時中断や拮抗薬使用を検討します。

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受診の目安と予防

肉眼的血尿、血塊、原因不明の側腹部痛や発熱を伴う場合、あるいは高リスク(高齢・喫煙歴・職業性曝露など)は早期の泌尿器科受診が推奨されます。

顕微鏡的血尿が見つかった場合は、激しい運動や月経直後を避けて再検し、持続する場合はリスクに応じた精査を受けます。自己判断で放置しないことが重要です。

予防としては十分な水分摂取、便秘予防、感染症の早期治療、過度な鎮痛薬連用の回避、そして喫煙者は禁煙により膀胱がんリスクを下げることができます。

日本では学校・職域の検尿制度があります。異常を指摘された場合は、案内に従って再検・精査を受け、必要に応じ専門医へ相談しましょう。

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