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血中尿酸

目次

概要

血中尿酸は、プリン体代謝の最終産物であり、主に肝臓でキサンチンオキシドレダクターゼにより生成され、血液中を循環します。腎臓からの排泄が約2/3、腸管からの排泄が約1/3を占め、産生と排泄のバランスで血中濃度が決まります。

ヒトは進化の過程で尿酸分解酵素(ウリカーゼ)を失ったため、他の哺乳類より血中尿酸が高く、抗酸化物質としての役割も指摘されています。一方で、濃度が高すぎると結晶化し痛風や尿路結石の原因となります。

血中尿酸値は、食事(プリン、果糖、アルコール)、体重、腎機能、薬剤(利尿薬、アスピリン低用量など)、脱水など多くの因子に影響され、日内変動や季節差も一定程度みられます。

臨床的には、持続的な高尿酸血症は痛風発作や腎機能低下、心代謝リスクとの関連が知られ、管理の目標や治療適応は各国のガイドラインで定められています。

参考文献

遺伝と環境

血中尿酸値の個人差は、遺伝要因と環境要因の双方で説明されます。双生児研究では遺伝率は概ね40〜60%と報告され、残りは食事、生活習慣、薬剤、腎機能などの環境因子に起因します。

代表的な関連遺伝子には、腎近位尿細管の尿酸トランスポーターSLC2A9、SLC22A12、ならびに排出に関与するABCG2などがあり、集団によって効果量や頻度が異なります。

ABCG2機能低下バリアント(例:Q141K)は、若年発症痛風や高尿酸血症の重要なリスク因子として特に東アジア系での影響が大きいことが示されています。

環境因子としては、果糖やアルコール摂取、プリンに富む食事、肥満、インスリン抵抗性、利尿薬使用などが血中尿酸を上昇させ、乳製品や適度なコーヒー、ビタミンCは低下要因とされます。

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測定と解釈

臨床検査では、尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)を用いた酵素法が標準的で、生成される過酸化水素を呈色反応で定量し濃度を算出します。古典的なリンタングステン酸還元法やHPLCも用いられます。

空腹時の早朝採血が望ましく、脱水、運動直後、急性疾患時は一過性の上昇を来すことがあるため、解釈には前提条件の確認が重要です。

一般的に男性は女性より高値で、閉経後は女性でも上昇します。CKDや利尿薬内服では高値になりやすく、持続的に7.0 mg/dL以上なら高尿酸血症とされることが多いです。

痛風管理では6.0 mg/dL未満(痛風結節があれば5.0 mg/dL未満)を治療目標とする推奨が国際的に広く採用されています。

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臨床的意義

高尿酸血症は尿酸塩結晶の析出により痛風関節炎や痛風結節、尿酸結石を引き起こします。再発性の関節炎は生活の質を著しく損ないます。

疫学的には、血中尿酸高値は高血圧、CKD、メタボリックシンドローム、心血管疾患と関連しますが、因果関係の強さはアウトカムにより異なります。

一方、尿酸は血漿中の主要な抗酸化物質として作用し、酸化ストレスからの防御に寄与する側面もあります。この二面性が臨床判断を複雑にします。

治療は、生活習慣改善を基本に、尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット等)や尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド等)を適応に応じて用います。

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予防と対応

水分摂取の確保、減量、果糖やアルコール(特にビール・蒸留酒)の制限、プリン負荷の高い内臓肉・魚卵の控えめ、乳製品や野菜中心の食事が推奨されます。

薬剤の見直し(利尿薬、シクロスポリン、タクロリムス、低用量アスピリンなど)も検討されますが、主治医と相談の上で安全性を優先します。

無症候性高尿酸血症の薬物治療は、合併症リスクや尿酸値の高さで判断が分かれ、国やガイドラインにより方針が異なります。痛風既往や結節、結石があれば強く治療が推奨されます。

定期的なフォローでは、尿酸値に加えて腎機能、尿検査、血圧、代謝指標を併せて評価し、全身リスクを包括的に管理することが重要です。

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