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真性多血症

目次

概要

真性多血症は、骨髄で赤血球が過剰に産生される「骨髄増殖性腫瘍(MPN)」の一種で、多くで白血球や血小板も増える病気です。血液が濃く粘り気を帯びるため、血栓症や出血の合併症が問題になります。

体質として生まれつき遺伝する病気ではなく、多くは体の細胞で後天的に起こるJAK2遺伝子の変異が原因です。診断には血算、エリスロポエチン値、骨髄検査、JAK2変異検査が用いられます。

治療の主な目的は血栓症の予防で、ヘマトクリットを45%未満に保つことが推奨されます。瀉血や低用量アスピリン、ハイドロキシウレア、インターフェロン、ルキソリチニブなどが使われます。

病状はゆっくり進行することが多いものの、まれに骨髄線維症や急性白血病へ進展することがあります。適切な管理により長期的な予後の改善が期待できます。

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症状

代表的な症状は、頭痛、めまい、耳鳴り、視覚のかすみ、倦怠感などの高粘稠度に伴う症状です。顔面紅潮や充血、手足の紅潮・灼熱感(エリスロメラルギア)も見られます。

入浴後のかゆみ(温熱性・水誘発性そう痒)や夜間の発汗、体重減少、脾腫による左上腹部の違和感などが起こることがあります。これらはサイトカインやヒスタミン、微小循環障害が関与します。

最も重要な合併症は血栓症で、脳梗塞、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、深部静脈血栓症、門脈系血栓などが生じえます。逆に出血傾向を伴うこともあります。

症状は無症状から重度まで幅広く、健康診断の血液検査で偶然見つかることも少なくありません。定期的なフォローとリスク評価が重要です。

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発生機序

PVの約95%でJAK2 V617F変異、残りの多くでJAK2エクソン12変異が見られ、JAK-STAT経路の恒常的活性化を引き起こします。これによりエリスロポエチン非依存的な造血が促進されます。

骨髄では赤芽球系優位の汎造血(パンミエロシス)が特徴で、末梢血ではヘマトクリット上昇、白血球や血小板の増加、血清エリスロポエチン低値を伴うことが多いです。

血液粘稠度上昇と血小板機能異常、炎症性サイトカインの増加などが微小循環障害や血栓傾向をもたらします。血管内皮機能異常も関与が示唆されています。

長期的にはクローン進化により骨髄線維症への移行や急性白血病化のリスクがあり、追加変異の獲得が予後や病態に影響します。

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遺伝的要因

PVは遺伝病ではありませんが、JAK2変異は体細胞で後天的に生じます。JAK2 V617Fが約95%、JAK2エクソン12変異がその多くを占め、CALRやMPL変異は通常PVではみられません。

JAK2 46/1(GGCC)ハプロタイプなど、特定の生殖細胞系列の背景がJAK2変異獲得のリスクを高めることが示されています。ただし家族内集積は稀です。

追加の体細胞変異(TET2、ASXL1、DNMT3A、SF3B1など)は病勢や予後に関連しうるものの、PVの定義的変異はJAK2です。

遺伝率を定量した確立データは限定的で、PV発症の大半は後天的変異による散発例です。

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治療

治療の第一目標は血栓症予防で、ヘマトクリット45%未満の維持が推奨されます。低リスクでは瀉血と低用量アスピリン、高リスクでは細胞減少療法を併用します。

細胞減少療法としてハイドロキシウレア、ペグ化インターフェロン製剤(ロペグインターフェロンなど)、ハイドロキシウレア不耐・抵抗例にはルキソリチニブが選択肢です。

生活習慣の是正(喫煙・肥満・高血圧・糖尿病管理)は血栓リスク低減に重要です。掻痒など症状緩和には抗ヒスタミン薬やSSRIなどが用いられることがあります。

治療選択は年齢、血栓歴、合併症、妊娠希望などを総合して個別化します。定期的なモニタリングとガイドラインに沿ったリスク層別化が推奨されます。

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