白血球数
目次
定義と基本概念
白血球数は、末梢血液中に存在する白血球の総数を示す検査値で、通常は1マイクロリットル(μL)あるいは1リットル(L)当たりの細胞数で表されます。単位はしばしば×10^9/L(SI単位)または/μL(慣用単位)が用いられます。
白血球は好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球に大別され、総数(WBC)と各分類比率(白血球分画)が評価されます。WBCは感染、炎症、ストレス、薬剤など全身状態の反映として変動します。
白血球数の測定は、全血球計算(CBC)の一部として自動分析装置で迅速に行われます。緊急時のトリアージや慢性疾患のモニタリングにも用いられ、臨床の基本検査です。
日内変動や体位、運動、喫煙、採血から測定までの時間などの前分析要因でも白血球数は上下します。そのため解釈は基準範囲や文脈と合わせて行います。
参考文献
生理学と変動要因
白血球は骨髄で造血幹細胞から分化・成熟し、血中を循環しながら組織へ移行します。好中球は自然免疫の中心で、リンパ球は獲得免疫を担います。総数の変化はこれらサブセットの動員や産生の変化の総和です。
白血球数には概日リズムがあり、夜間にリンパ球や単球が増え、日中に低下する傾向が報告されています。副腎皮質ホルモンの分泌リズムや接着分子の発現変化が関与します。
年齢、性別、民族差も見られます。新生児や乳児は高め、思春期から成人で安定し、高齢でやや低下することがあります。アフリカ系でみられる良性民族性好中球減少(BEN)では好中球が低めです。
喫煙、肥満、急性ストレス、激しい運動、感染前駆期、手術後、妊娠などでも上昇しやすく、ウイルス感染や化学療法、自己免疫疾患、薬剤(抗甲状腺薬など)では低下することがあります。
参考文献
- Dimitrov et al. PNAS 2009: Circadian oscillations of immune cells
- StatPearls: Benign Ethnic Neutropenia
測定方法と理論
現在のCBC装置は、主に電気抵抗(コールター原理)と光学散乱・蛍光法を組み合わせて白血球数と分画を算出します。赤血球を溶解し、核酸染色で白血球を識別する方式もあります。
コールター原理では微小孔を通過する細胞が電気抵抗のパルスを生じ、その大きさと数から細胞の体積と個数を推定します。簡便で再現性が高く、標準的手法です。
光学法ではレーザーの前方・側方散乱、蛍光強度を測定し、細胞の内部構造や顆粒性の違いを読み分けます。これにより白血球分画の精密な自動分類が可能です。
前分析要因(採血管の抗凝固剤、輸送条件、測定遅延)や干渉(白血球凝集、極端な高白血球血症)により誤差が生じ得るため、品質管理と異常フラグの確認が重要です。
参考文献
基準範囲と解釈
成人の一般的な基準範囲はおおむね4.0〜11.0×10^9/L(= 4,000〜11,000/μL)ですが、施設や年齢、民族で差があります。小児や新生児ではより高値が正常です。
11.0×10^9/L超を白血球増加(白血球増多)、4.0×10^9/L未満を白血球減少と呼びます。好中球絶対数(ANC)<1,500/μLは好中球減少、<500/μLは重度で感染リスクが高まります。
白血球増加は感染、炎症、組織壊死、ステロイド、喫煙、ストレス、骨髄増殖性疾患などが鑑別に挙がります。臨床症状や分画、血液像、炎症マーカーと併せて評価します。
白血球減少はウイルス感染、薬剤性骨髄抑制、自己免疫性好中球減少、栄養欠乏、造血器腫瘍、良性民族性好中球減少などが原因となり得ます。再検や追加検査の適応を吟味します。
参考文献
臨床的意義と異常時対応
高値時は感染症や炎症、薬剤、内分泌、悪性疾患などの可能性があり、病歴・身体所見・分画・末梢血塗抹と組み合わせて原因検索を行います。極端な高値や芽球出現は緊急性を伴うことがあります。
低値時は感染リスクの層別化が重要です。発熱を伴う重度好中球減少は緊急受診・広域抗菌薬が推奨されます。薬剤性の可能性があれば中止を検討し、専門医紹介を考慮します。
一過性の軽度異常は再検で正常化することもあります。採血条件、急性ストレス、運動、喫煙などの影響も踏まえ、経過での確認が有用です。
基礎疾患の有無、併用薬、感染徴候、体重・喫煙歴、民族背景(BEN)を含めた全体像から安全・迅速に判断し、必要時に骨髄検査や免疫学的検査へ進みます。
参考文献

