尿路結石
目次
定義と種類
尿路結石は腎臓から尿道に至る尿の通り道に結晶が集まってできる石の総称です。最も多いのはカルシウム結石(シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム)で、次いで尿酸結石、感染に伴うストルバイト結石、遺伝性のシスチン結石などが知られています。
結石の組成は生活習慣や代謝、感染、解剖学的因子の影響を受けます。たとえば脱水や高ナトリウム食はカルシウム結石を、酸性尿や高尿酸血症は尿酸結石を起こしやすくします。結石の種類に応じて予防法や治療薬が異なるため、成分分析は診療上重要です。
結石は位置(腎杯・腎盂・尿管・膀胱・尿道)や大きさでも分類されます。数ミリの小結石は自然排出することもありますが、1センチを超えると処置が必要になることが増えます。腎杯に留まるサンゴ状結石は腎機能障害の原因となり得ます。
生涯で再発する人は多く、5年で約30〜50%が再発すると報告されています。再発予防には原因評価と行動療法・薬物療法の組み合わせが推奨されます。国際ガイドラインは個別化した管理を強調しています。
参考文献
症状と合併症
典型的な症状は突然の側腹部〜背部に走る激痛(疝痛)で、吐き気や嘔吐、冷汗、落ち着かない様子を伴います。尿が詰まると尿量が減り、膀胱近くの結石では排尿痛や頻尿をきたすことがあります。肉眼的あるいは顕微鏡的血尿はよくみられます。
発熱や悪寒を伴う場合は尿路感染の合併が疑われ、とくに結石による閉塞と感染が同時にある「閉塞性腎盂腎炎」は緊急のドレナージが必要です。放置すると敗血症に進展し、命に関わるおそれがあります。
無症候性の腎結石も少なくなく、健康診断や他疾患の画像検査で偶然見つかります。症状がなくても大きさや位置、腎機能、合併症の有無によっては治療の適応になります。
長期的には再発を繰り返すことで腎機能低下のリスクが上がることが示されています。予防のための水分摂取や食事・薬物療法が重要です。
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発生機序
結石は尿が結晶成分(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)で過飽和となり、核形成→結晶成長→凝集→付着の段階を経て形成されます。腎乳頭のラナル顆粒やプラークに結晶が付着する機序が提案されています。
尿中クエン酸はカルシウムと結合して結晶形成を抑える天然の阻害因子です。逆に低クエン酸尿や低尿量、高シュウ酸尿、高尿酸尿、高ナトリウム摂取などは結晶化を促進します。尿pHも重要で、酸性尿は尿酸結石、アルカリ尿はリン酸カルシウムやストルバイト結石を形成しやすくなります。
腸内環境や尿路の微小環境も関与が示唆されています。たとえばシュウ酸分解菌の減少は高シュウ酸尿の一因となり得ますが、介入効果は一定していません。
解剖学的因子(例:下腎杯の鋭角や狭い漏斗)は結晶排出を妨げ、結石の温床になることがあります。代謝・行動・解剖の多因子が重なり合う疾患です。
参考文献
- EAU Guidelines on Urolithiasis (risk factors and pathophysiology)
- Coe FL et al. Kidney stone disease. J Clin Invest. 2005
診断と検査
結石疑いの初期評価では病歴・身体診察、尿検査(血尿、感染の有無、結晶)、血液検査(腎機能、電解質、尿酸、カルシウムなど)を行います。痛みの強さや発熱の有無は緊急性の判断に重要です。
画像検査は非造影低線量CTが感度・特異度ともに最も高い標準検査とされています。被ばくや妊娠を考慮する場合は超音波検査が第一選択となることもあります。単純X線(KUB)は結石種類により描出能が異なります。
再発者やハイリスク例では代謝評価として24時間尿検査(尿量、カルシウム、シュウ酸、クエン酸、尿酸、ナトリウムなど)と石成分分析が推奨されます。結果に基づいて食事・薬物の介入を最適化します。
閉塞性腎盂腎炎が疑われる場合は速やかな減圧(腎瘻または尿管ステント)と広域抗菌薬が必要です。診断は治療方針に直結します。
参考文献
予防と治療
急性期は疼痛管理(NSAIDsが第一選択)、嘔気対策、水分管理を行い、感染・閉塞の合併があれば緊急対応します。5〜10mm程度の遠位尿管結石にはα遮断薬(タムスロシン)による自然排石促進療法が一定の効果を示します。
介入治療には体外衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道的尿管・腎盂鏡手術(URS/フレキシブルURS)、経皮的腎結石摘出術(PCNL)があります。結石の大きさ・位置・硬さ、患者背景で選択します。
再発予防の基本は尿量を増やす十分な水分摂取(1日尿量2〜2.5L以上)です。食事では塩分制限、適正カルシウム摂取、動物性タンパクの控えめ、果物・野菜の増量(DASH型)などが推奨されます。
代謝異常に応じて、サイアザイド系利尿薬(高カルシウム尿)、クエン酸カリウム(低クエン酸尿、尿酸結石の尿アルカリ化)、アロプリノール(高尿酸尿)などの薬物療法を用います。再発率の低減が示されています。
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