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基礎代謝率

目次

基礎代謝率の概要

基礎代謝率(Basal Metabolic Rate, BMR)は、完全に安静・覚醒・空腹(通常は12時間以上の絶食)・中立温の環境下で生命維持に必要な最低限のエネルギー消費量を示します。心拍、呼吸、体温維持、臓器機能などの基礎的な活動に費やされるエネルギーで、日々の総消費エネルギーの基盤となります。

測定は間接熱量計(酸素消費量と二酸化炭素排出量から算出)で行い、厳密な条件を満たせない場合は近縁概念の安静時代謝量(RMR)を用います。RMRはBMRより若干高めに出る傾向がありますが、実務上は代替指標として広く使用されています。

一般的に座位中心の生活では、BMR/RMRが総消費エネルギーの約60〜70%を占め、身体活動が20〜30%、食事誘発性熱産生が約10%前後を占めます。体格や生活様式によりこの割合は変動します。

推定にはMifflin-St Jeor式やHenryの式などの予測式が用いられ、近年の体格に適合しやすいとされます。臨床や栄養指導では、BMRの把握がエネルギー必要量設定の出発点となります。

参考文献

基礎代謝率の遺伝的要因と環境的要因の比率(%)

BMRの個人差は、遺伝と環境の両者で規定されます。双生児・家系研究では、安静時エネルギー消費の遺伝率は概ね25〜40%程度と報告され、残りは体格や年齢、ホルモン、生活環境等の非遺伝要因によると考えられます。

遺伝は主に除脂肪量の多少、神経内分泌機能(交感神経や甲状腺ホルモン)への感受性、ミトコンドリア機能などを通じてBMRに影響します。ただし単一遺伝子で説明できる場合は稀です。

環境要因としては、身体活動による筋量変化、加齢に伴う筋量減少、睡眠不足、寒冷曝露、薬剤、栄養状態、慢性疾患や甲状腺機能異常などが挙げられます。測定条件の違いも見かけの差の一因です。

総じて一般集団における比率の目安として、遺伝約30%(±10%)、環境約70%(±10%)と解釈すると実務的です。ただし研究手法や対象により幅がある点に留意してください。

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基礎代謝率の意味・解釈

BMRが高い・低いことは良し悪しではなく、主に除脂肪量(筋・臓器)の多寡を反映する指標です。同じ身長体重でも、筋量や臓器サイズ、ホルモン状態の違いでBMRは変わり得ます。

減量過程では、体重減に見合う低下以上にRMRが下がる「適応的熱産生低下」が起こることがあります。これはリバウンドリスクに関係し、食事や活動量設計の際に考慮が必要です。

予測式と実測値の差は、測定誤差や条件の差、疾患の影響で説明できることが多いです。極端な乖離や体重変動、倦怠・寒がり・動悸などがあれば甲状腺などの評価を医療機関で受けてください。

栄養計画では、BMR(またはRMR)に活動係数と食事誘発性熱産生を加味して総消費エネルギーを見積もります。日々の小さな変動に過度に反応せず、中長期の傾向で判断します。

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基礎代謝率に関与する遺伝子および変異

BMRに関与し得る経路には、交感神経—βアドレナリン受容体(ADRB2など)、甲状腺ホルモン活性化酵素(DIO2)、ミトコンドリアの脱共役蛋白(UCP1-3)、視床下部のメラノコルチン系(MC4R)などが含まれます。

一般的な多型(例:ADRB2、UCP群、FTOなど)は、食欲や体組成を介して間接的にRMRへ影響し得ますが、効果量は小さく研究間の整合性も一定ではありません。

一方、LEP/LEPR、POMC、MC4Rなどの稀な機能喪失変異は、摂食行動とともにエネルギー消費も変化させ、基礎代謝に影響することがあります。臨床的には肥満症の遺伝学として知られます。

現時点で一般の健康診断でBMRに特化した遺伝子検査は推奨されていません。生活習慣の最適化が、遺伝的素因に関わらずBMR・総消費の管理に有効です。

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基礎代謝率に関するその他の知識

BMR測定は厳密条件が必要なため、臨床ではRMRの間接熱量測定が一般的です。日差変動は概ね数%で、測定時刻や前日の活動・食事・カフェイン・睡眠で上下するため標準化が重要です。

加齢で除脂肪量が減るとBMRは低下します。発熱は1℃上がるごとに約10〜13%エネルギー消費が増えるとされ、妊娠・授乳でも必要量が上乗せされます。疾患や薬剤は大きく影響し得ます。

組織別代謝では、肝臓・脳・心臓・腎臓など高代謝臓器の寄与が大きく、体脂肪は寄与が小さいのが一般的です。レジスタンストレーニングで筋量を増やすとBMRはわずかに上がります。

予測式は集団特性に依存します。Harris-Benedict式より、現代の体格に整合しやすいMifflin-St JeorやHenryの式が推奨される場面が増えています。民族差や肥満度で精度が変わります。

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