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全身性強皮症

目次

疾患の概要

全身性強皮症(systemic sclerosis, SSc)は、皮膚の硬化だけでなく、肺・心臓・腎臓・消化管など全身の臓器に線維化や血管障害を引き起こす自己免疫性疾患です。免疫系の異常、微小血管の機能障害、線維芽細胞の活性化による過剰なコラーゲン沈着が病態の三本柱と考えられています。

臨床的には主にびまん皮膚硬化型(dcSSc)と限局皮膚硬化型(lcSSc)に分けられます。前者は発症早期から広範な皮膚硬化と内臓合併症の進行が目立ち、後者は皮膚硬化が末梢主体で進行が比較的緩徐ですが、肺高血圧症など重要な合併症を起こし得ます。

初発症状としてはレイノー現象や手指の腫れ(puffy fingers)がよくみられ、病型により抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI抗体(Scl-70)、抗RNAポリメラーゼIII抗体などの自己抗体が検出されます。これらは診断や臓器リスクの層別化に役立ちます。

有病率と発症率は地域・人種で幅があり、女性に多いことが知られています。根治療法はありませんが、免疫抑制薬や抗線維化薬、血管作動薬、造血幹細胞移植などにより臓器障害の進行抑制と予後改善が可能になっています。

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主な症状

全身性強皮症の皮膚症状は、手指から始まる浮腫状の腫れと硬化、光沢のある皮膚、色素異常、毛細血管拡張などです。進行すると関節可動域制限や手指屈曲拘縮、石灰沈着、難治性の手指潰瘍を伴うことがあります。

血管症状として最も一般的なのがレイノー現象で、寒冷やストレスにより指先が白→紫→赤と変色し痛みを伴います。爪郭毛細血管の形態異常は診断に有用で、毛細血管顕微鏡検査で特徴的パターンが確認されます。

消化器では逆流性食道炎、嚥下困難、小腸の運動障害による細菌増殖症候群や栄養障害が見られます。呼吸器では間質性肺疾患(SSc-ILD)が主要な死亡要因で、労作時息切れや乾性咳嗽で発症します。

心血管では肺動脈性肺高血圧症、心筋線維化、不整脈、腎では強皮症腎クリーゼ(急速進行性高血圧と腎不全)が問題となります。早期の臓器スクリーニングと定期フォローが予後に直結します。

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診断と検査

診断の出発点は臨床像で、レイノー現象、手指腫脹、皮膚硬化の分布と進展速度を丁寧に評価します。血液検査では抗抗体(ANA)と特異的自己抗体の同定が重要で、臓器合併症リスクの推定にも用いられます。

爪郭毛細血管顕微鏡はレイノー現象の原因鑑別に有用で、系統的な毛細血管拡張・出血・無血管野などの“強皮症パターン”を示せばSScの可能性が高まります。

臓器評価としては、胸部高分解能CTと呼吸機能検査(特にDLCO)で間質性肺疾患を、心エコーとNT-proBNPで肺高血圧症を、血圧・血清クレアチニン・尿所見で腎障害をスクリーニングします。

分類には2013年ACR/EULAR分類基準が広く用いられ、皮膚硬化、指端潰瘍、毛細血管異常、自己抗体などの項目の総点で判定します。早期診断を目指すVEDOSS基準も提唱されています。

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発生機序

SScの病態は、自己免疫の活性化、血管内皮障害、線維化の三者が相互に悪循環を形成することが特徴です。環境因子により素因のある宿主で免疫応答が破綻し、臓器特異的な障害が進みます。

免疫学的には、B細胞とT細胞の活性化、I型/III型インターフェロンシグネチャー、TGF-βやIL-6などのサイトカインが線維芽細胞の活性化を促します。自己抗体は病型や合併症の表現型と関連します。

血管では内皮細胞障害と内皮一酸化窒素産生低下、エンドセリン-1過剰により血管攣縮とリモデリングが進み、末梢循環不全や肺高血圧症の基盤となります。

線維化は、活性化線維芽細胞や筋線維芽細胞が過剰なコラーゲンと細胞外マトリックスを産生することで生じ、臓器の硬化と機能低下をもたらします。

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治療とケア

治療は病型と臓器障害の有無に応じて個別化します。皮膚硬化・ILDにはミコフェノール酸モフェチルやシクロホスファミド、リツキシマブやトシリズマブが検討され、ILDには抗線維化薬ニンテダニブが有効性を示しました。

血管合併症にはカルシウム拮抗薬、PDE5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬、プロスタサイクリン製剤などを用います。強皮症腎クリーゼにはACE阻害薬が第一選択です。

難治例や急速進行のびまん型では自己末梢血造血幹細胞移植(AHSCT)が選択肢となり、無増悪生存の改善が示されていますが、適応は慎重に評価されます。

リハビリ、皮膚・手指ケア、寒冷回避、栄養管理、逆流対策、ワクチン接種などの包括的ケアも重要で、専門多職種チームでの長期管理が推奨されます。

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