Forest background
バイオインフォの森へようこそ

体幹の体脂肪率

目次

体幹の体脂肪率の概要

体幹の体脂肪率は、体全体のうち胸腹部(胴体)に存在する脂肪の割合を指し、皮下脂肪と内臓脂肪の双方を含みます。DEXAやBIAなどの体組成測定機器で推定され、同じBMIでも個人差が大きい指標です。

体幹部の脂肪は心代謝リスクと強く関連し、特に内臓脂肪はインスリン抵抗性や脂質異常、高血圧の発症と結びつきます。したがって、体幹の体脂肪率は見た目以上に健康予後を左右する重要な尺度です。

周囲径(ウエスト)やウエスト・ヒップ比は簡便な代替指標として用いられますが、体幹の体脂肪率は分布の偏りをより直接的に反映します。臨床や健康管理では複数の測定を組み合わせて評価します。

一般的に加齢、運動不足、高カロリー食、睡眠不足、アルコール多飲、ストレスなどが体幹部への脂肪蓄積を促進します。逆に運動や食事の最適化で低減が可能です。

参考文献

測定法とそれぞれの特徴

BIA(生体電気インピーダンス法)は自宅用体組成計にも搭載され、体幹セグメントの脂肪率推定が可能ですが、水分状態の影響を受けやすく、前提条件の標準化が重要です。

DEXA(二重エネルギーX線吸収法)は研究・医療で用いられ、四肢と体幹を区分して脂肪量を高精度に測定できます。放射線量は低いものの、機器が限られ費用がかかります。

CT/MRIは内臓脂肪と皮下脂肪を直接可視化でき、体幹部の脂肪分布評価のゴールドスタンダードですが、CTは被ばく、MRIは費用の高さが課題です。

ウエスト周囲径やWHRは簡便かつ予後予測力が高く、体幹脂肪の代理指標として疫学や健診で広く利用されています。目的と利用環境に応じて方法を選ぶことが実用的です。

参考文献

遺伝的要因と環境的要因

体幹脂肪の分布は遺伝と環境の双方に規定され、双生児研究では腹部脂肪の遺伝率は概ね30〜60%と報告されます。残余は食事、活動、生活習慣など環境の影響です。

FTOやMC4Rなど肥満関連遺伝子に加え、WHR(BMI調整)に関与するLYPLAL1、RSPO3、VEGFA、KLF14などが体脂肪分布の差に関係します。性差を伴う遺伝効果も示されています。

環境面では高カロリー・超加工食品、座位時間増加、睡眠不足、アルコール、喫煙の影響(禁煙後の体重増加含む)、慢性ストレスとコルチゾールが体幹脂肪蓄積に寄与します。

遺伝素因があってもライフスタイル介入で体幹脂肪は有意に低減可能で、行動変容の効果は大きいことが介入試験で繰り返し示されています。

参考文献

健康影響(症状に代わる関連リスク)

体幹の体脂肪率が高いこと自体は症状ではありませんが、内臓脂肪増加はインスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常、高血圧、NAFLD、睡眠時無呼吸と関連し、動脈硬化リスクを高めます。

内臓脂肪は炎症性アディポカイン(TNF-α、IL-6)や遊離脂肪酸を門脈へ放出し、肝の糖・脂質代謝を撹乱することが病態の基盤と考えられています(門脈説)。

女性は閉経後に体幹/内臓脂肪が増加し、男性では若年から体幹優位の脂肪分布が多いなど、性差と加齢の影響が明瞭です。

ウエスト周囲径やWHRは心血管イベントの予測に有用で、BMIよりも強い予測力を示すことが多く、健診指標として推奨されます。

参考文献

予防・介入と公的支援

エネルギー赤字を作る食事(地中海食・高食物繊維・超加工食品抑制)と有酸素+レジスタンス運動は体幹脂肪、とくに内臓脂肪を減らします。体重変化が小さくても内臓脂肪は減少しやすい点が特徴です。

運動のみでも内臓脂肪は減少し、腹囲およびインスリン感受性が改善します。週150分以上の中強度活動と筋力トレーニングを組み合わせることが推奨されます。

薬物療法ではGLP-1受容体作動薬(セマグルチド、リラグルチド)が体重と内臓脂肪を減らすエビデンスがありますが、適応と費用、保険適用の可否を確認する必要があります。

日本では特定健診・特定保健指導など、腹囲を含むメタボ対策の公的支援が整備されています。自治体や保険者の生活習慣改善プログラムを活用しましょう。

参考文献