インターロイキン-18(IL-18)血清濃度
目次
概要
インターロイキン-18(IL-18)はIL-1ファミリーに属する炎症性サイトカインで、プロIL-18として合成され、インフラマソーム経路で活性化されたカスパーゼ1により切断されて成熟体になります。血清中のIL-18濃度は、宿主の炎症や感染への応答の強さを部分的に反映します。
IL-18はIL-12と相乗的に働いてIFN-γ産生を促進し、自然免疫(NK細胞)と獲得免疫(Th1応答)を橋渡しします。過剰なIL-18シグナルは自己炎症性疾患やマクロファージ活性化症候群(MAS)などの病態に関与します。
IL-18には天然の可溶性阻害因子であるIL-18結合蛋白(IL-18BP)があり、血中ではIL-18の多くがIL-18BPと複合体を形成します。そのため「総IL-18」だけでなく「遊離IL-18」を測る意義が一部で議論されています。
血清IL-18は加齢、肥満、腎機能、喫煙、感染症、慢性炎症性疾患など多くの要因の影響を受け、測定法による差も大きいことから、解釈には臨床文脈と検査法の理解が不可欠です。
参考文献
- Dinarello CA. Overview of IL-18 in disease.
- Okamura et al. Discovery of IFN-γ inducing factor (IL-18).
遺伝と環境の影響
循環サイトカイン濃度の遺伝学的規定性は中等度で、IL-18もゲノムワイド関連解析やpQTL研究で関連遺伝子座が報告されています。ただし説明可能な分散は限定的で、環境要因の寄与も大きいのが特徴です。
大規模コホートでは、血中タンパク質の遺伝率は概ね数十%と見積もられ、IL-18近傍やIL18BP近傍のバリアントが濃度に影響する一方、肥満や喫煙、感染・炎症などの環境因子が大きく変動させます。
したがって、IL-18血清濃度に対する寄与の目安は、遺伝要因がおおよそ30〜50%、環境・生活・疾患要因が50〜70%と考えられます。ただし推定値は集団や測定法により変わります。
臨床では個々の患者で遺伝要因を直接推定することは通常なく、環境・疾患要因の評価と併せて動的変化を追跡することが重要です。
参考文献
- Ahola-Olli AV et al. GWAS of circulating cytokines.
- Ferkingstad E et al. Genetics of plasma proteome.
臨床的意義
IL-18濃度は全身炎症の程度を反映し、感染症、自己炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝異常、心血管疾患リスクなどの評価に用いられます。特にMAS/成人発症スティル病(AOSD)やsJIAでは著明高値が特徴的です。
心血管領域では、IL-18高値が冠動脈イベントのリスクと関連することが報告されています。代謝・肝領域では、肥満、メタボリックシンドローム、NAFLD/NASHとの関連が示されています。
腎機能障害ではIL-18のクリアランス低下や炎症亢進により濃度上昇がみられることがあり、解釈には腎機能指標の併用が望まれます。
単独指標としての限界があるため、CRP、フェリチン、可溶性IL-2受容体、CXCL9など他の炎症・免疫指標と組み合わせて総合的に判断します。
参考文献
測定法と原理
最も一般的なのはサンドイッチELISAで、捕捉抗体で抗原を固相に固定し、検出抗体と酵素反応による比色・化学発光で定量します。標準品の検量線により濃度を算出します。
化学発光や電気化学発光(ECL)を用いた高感度イムノアッセイ、ビーズベースの多項目同時測定(Luminex)も広く用いられます。測定感度やダイナミックレンジは法ごとに異なります。
IL-18はIL-18BPと複合体を形成するため、キットにより「総IL-18」か「遊離IL-18」を測るかが異なります。結果の比較には、同一法・同一ラボでの追跡が推奨されます。
前分析的要因(採血条件、遠心・保存、凍結融解回数)やヘテロロ体干渉などの分析的交絡にも留意が必要です。
参考文献
解釈と基準値
健常者の血清IL-18は一般に数十〜数百pg/mLの範囲ですが、測定法や集団により大きく変わります。各検査室・試薬ごとの基準範囲に従うことが最重要です。
臨床的には、軽〜中等度上昇は慢性炎症や代謝異常、感染初期などで見られ、数千pg/mL以上の著明高値はMAS/sJIAやAOSDなどを強く示唆します。
「正常/異常」の二分ではなく、経時的変化と他指標の整合性を重視します。特にフェリチンやCRP、可溶性IL-2R、肝酵素、腎機能と併せた解釈が有用です。
基準値例は試薬会社のデータシート等に示されていますが、施設間差が大きいため、レポートに記載の範囲を必ず確認してください。
参考文献

